エコマル通信PHOTO! 2010年10月号
エコマル通信10月号の写真付きバージョンを何回かに分けてアップします。
どうぞお楽しみください♪
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先月の九州見聞録に続き、今回は北海道のはなし。
この十月あたまに北海道に行ってきました。二年ぶりです。前回の来道では、軽自動車でトコトコと東京から走って行きましたが、さすがに時間もないし、疲れちゃう。今回は寄り道なしで、女満別空港に直行。道東攻めだけのスケジュール。
美幌の「しぶはち農園さん」、訓子府の「伊藤さん」、「中西さん」、遠軽の「べにや長谷川商店さん」を訪ねてきました。べにやさんのことは十一月号でばっちり書きますので、今回は前者3軒のレポートです。
おなじみミニトマトの農家 ~しぶはち農園
渋谷さんの野菜がエコマルの店頭に並ぶのは、四月~十一月。その間、だいたい週二回は電話で畑の状況などを聞くのだが、今年はあの冷涼な美幌とは思えないような感じで、「ジトジトした梅雨のよう」、「すごい大雨が降ったかと思うと、強烈な日照り」、「ビニールハウス内の温度は五十度越えてますよ!」、と電話口から聞こえるのは、とにかく例年にない極端な気候。
ハウス内の温度がそれだけ高くなれば、さすがに木は弱ったり、これからトマトの実などをつける花も「花落ち」してしまう。露地の畑でもジトジト雨で全然乾かず、用意したレタスなどの苗も植えられない、と散々。そんな状況を肌で感じたいのもあり、早く行きたかったのだが、なんだかんだで九月三十日の夜、空港に降り立った。
寒さを覚悟して、厚着をリュックに詰め込んで来たが、そこまで心配する必要はなかったようだ。渋谷さんの自宅に着き、上を見上げると満天の星空。最後にこんな星空を見たのはいったいいつだったろうか。北斗七星はもちろん、天の川もうっすらと見える。ここに立っていると、地球は宇宙の中のひとつの惑星なのだと、ひしひしと実感できる。東京ではとても味わえない一瞬だ。
翌朝起きると、空は雲ひとつないスカイブルー、いやこのへんはオホーツクブルーというべきか、目が覚めるような青空が拡がっている。
渋谷さんのところは、ビニールハウスを使っての施設栽培がメイン。八メートル×五十メートル(だったかな?)の長さのハウスが八本。今の時期は、このハウスから産せられるもので、「大玉トマト」、「中玉トマト」、「ミニトマト」、「ピーマン」、「セニョリータ(フルーツパプリカ)」、「いんげん」が主にエコマル店頭に並んでいる。
(ミニトマト「品種:キャロル10」)
(中玉トマト「品種:フルティカ」)
渋谷さんといえばトマト。中でも主力はミニトマトで毎年とても好評。でも今年は天候が安定せず、なかなか思い通りにならなかったようだ。それでも何とかおいしいトマトに仕立てようと、自作のアミノ酸肥料を定期的に施したり、ミネラル系の肥料をやったりと様々な努力をする。
野菜作りは簡単ではない。特に有機栽培は科学的にこうこうこうすれば、誰でもできるというような解明がされていないから、なおさらだ。
慣行栽培では病害虫が発生したら、農薬を使い、土壌に病原菌がはびこれば土壌消毒剤を土壌に撒き、雑草には除草剤、肥料は化学肥料を使いと、栽培する地域・作物ごとに農協や農業改良普及所なんかが、この時期にはこれを使ってと「栽培歴」というマニュアルがあり、それに従ってやることが多い。農協から「カメムシが発生したから、○○という薬剤を散布するように」とアナウンスが出れば、その薬剤を農協で買って、そして散布する。ちなみに野菜を農協に出荷して得た代金と買った農薬などは、もちろん相殺される。慣行栽培といっても農家によってそれぞれやり方があり、作物やその状況によってそれら資材を使わなければ、作物自体が継続してできなくなってしまうこともあるので、慣行栽培だからダメなんてことは全くない。
(フルーツパプリカ「品種:セニョリータ」)
※セニョリータ、最初は緑色。この後、赤くなるのとオレンジ色になるのと2種類がある。
渋谷さんは脱サラして、十年前から、ここ美幌で農薬・化学肥料を使わない有機栽培を始めた。夫婦二人、イチから農業を勉強。さらに、得た農地は美幌の中でも特に条件が悪く、逆境からの出発。
気候条件はいい。湿度が低く、寒暖差があるので作物に甘みはのりやすく、病害虫の発生も比較的少ない。
悪かったのは土壌で、肥料を施しても、言ってみれば土がサラサラすぎて、その肥料成分を土が保っておくことができず、すぐ手放してしまう。かといって肥料をたくさんやればバランスを崩して、病原菌などの発生に繋がるので、焦らずじっくりと取り組むほかない。
麦とかクローバーなどを育て、それを刈って、土にすきこんだり、自作の肥料を施したり、休ませたりと微生物たちの環境づくりに試行錯誤し、この頃は大分よくなってきたという。
いい土は適度に軟らかくて、植物の根がストレス少なく伸びていく。その結果、植物自体が丈夫に育ち、実りもよくなる
ちなみに化学肥料ばかりにたよると、微生物の視点が欠けてしまう。結果、土が固く閉まってしまい、根っこの成長にも支障をきたしてしまうようだ。
(顔はいっちょ前だが、2匹ともかなり臆病で吠えてばかりいる親子犬のユズとミカン)
(去年から買い始めた羊、名前は忘れた、、、)
(意外と雑草をモリモリ食べるので重宝)
(結構、動かない時もあります)
農家の出ではなく、イチから有機栽培に取り組んでおられるからだと思うが、渋谷夫妻と作物や栽培の話をすると、比較的頭に入ってくる。かみくだいていってくれるからか。
今回も丸二日間お世話になって、色々な話をした。それで分かったのは、「自分がまだまだ全然、有機栽培のことが分かってないな」ということ!
千葉県・野田でやっている小さい畑、以前は日曜農家やっていたが、今はとても毎週なんて行っていない。これからはもうちょっと気入れてやって、有機栽培理解の一助にしよう。
(ベビーリーフ、播種から2週間で収穫できる)
今の時期は、毎週木曜に渋谷さんの野菜が店頭に並びます。さすがに美幌も気温が下がり、トマトなどの実りもゆっくり気味に。例年十一月頭くらいまでは、なんとか届きますが、この時期は強い寒さが一気に来るとそこで突然幕が下りることもあります。トマト関係、フルーツパプリカ、いんげんなどもう少々お楽しみいただけるかと思います。
(ピーマン「品種:京みどり」)
今年は量は少ないのですが、いんげんがスマッシュヒット。「さくさく王子」という品名の、このいんげん。渋谷さんも今年初めて栽培してみたのですが、これがかなりうまい。
名前の通りさくさくした食感、そして香りがよい。私はいんげんの「キュッ」とするのが苦手で、ひとかみするごとに鳥肌もんなのですが、これなら大丈夫。おすすめです。
あと、これから色々なじゃが芋、カボチャも出てきます。
(左が「こだわり」、右が「北のこころ」だったと記憶してます)
(左が「白い九重栗」、右が「紅爵(こうしゃく)」)
じゃが芋は渋谷さんおすすめの「さやあかね」、ホクホクした粉質のすっきりした味わい、「シャドークイーン」実が黒がかった紫色のすごいのや、カボチャは「白い九重栗」という表面が白いもの、「紅爵」というオレンジ色したものなど、まさに秋の北海道・大でんぷん祭りといった様相。どうぞお楽しみください。
(渋谷さん、ジャガイモを掘っています)
(渋谷さん、ジャガイモを拾っています)
「番外編」
作業は暗くなっても続きます
ミニトマトの選果作業。相当ていねいにやっていただいています。
渋谷さん編はここでおしまい
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