日昇製糖さんの黒糖
当店で扱っている黒糖は種子島の日昇製糖工場さんのもの。
日昇さんの黒糖は黒蜜にあるような黒糖独特の風味は抑えめで、食感はしっとりホロホロ。舌にのせるとす~っと溶けて後味がいい。
それまでは金槌で叩く堅さと、あのエグイような独特な風味が「黒糖」と思っていたので、日昇さんの黒糖を初めて食べたときは、こういう黒糖もあるんだと思った。いや、むしろこの黒糖の方が美味しい。
黒糖は大手メーカーから、家族経営のような小規模工場まで生産しているところが多い。なので、作り方、原料のさとうきびの栽培方法や品種など、どれを選択するかで、黒糖の出来が大きく変わってくる。
日昇さんの黒糖の美味しさの秘密はどの辺にあるのだろうか。日昇製糖工場の中村社長に色々伺ったところ、大きく3つのポイントがあった。
①栽培方法
~肥料を多く使わない
日昇さんの黒糖のえぐみの少なさのひとつは原料であるさとうきびの栽培方法にあった。
化学肥料を多く使用するほど、あの「エグミ」は出るそうだ。一般的にさとうきび栽培は収量を重視するため、化学肥料を多投するという。日昇の中村社長は、その「エグミ」を好まないので、契約栽培している原料さとうきびは基本的に化学肥料は使わず、油粕などの有機肥料を施すようにしている。
なお、農薬はさとうきびに対しては使わないが、種子島は南国のために夏草の勢いがすごく、どうしても、さとうきびが大きくなるまでに除草剤を1回は使う、とのこと。
②製造段階でのこだわり
あの、しっとりホロホロした食感は水分量と製造中の温度、石灰の量の少なさによるものであった。
黒糖は製造途中に石灰という加工助剤を入れる。これを多く入れるとよく固まり、高い温度で加熱すると水分が飛んで日持ちがよくなる。このあたりは売り手の意向が大きく左右するかもしれない。
「本来は石灰を入れなくても糖度が高ければ固まるんです」と社長。
石灰の量を極力減らし、「堅い黒糖よりホロっとした黒糖が作りたいんですよ」。
仕上げの行程での水分の飛ばし方によるものだが、水分量が多いと日持ちがしない。なので、日昇さんでは一度に大量に作らず、少ないロットで一年中製造している。乾燥剤は必須。開封するとカビが早いので冷蔵保存が良い。
さらに、日昇さんの黒糖の風味はさとうきびを煮詰める際の火入れに理由があった。
「煮詰めの温度をあんまり高温にすると、糖の味と臭いが変わっちゃう。あの臭いがいやなんだよね~」ということで、120度以上の高温にしないことで、軽やかな風味を残しているのだった。
③さとうきびの品種
日本で栽培されているさとうきびの95%は黒糖用ではなくて、普通の砂糖(分蜜糖)用。黒糖には黒糖に向いた品種がいくつかある。日昇さんでは、「NCO(エヌシーオー)」という黒糖専用の糖度の高いさとうきびの品種を使っている。
糖度が高いことから、前述したように石灰を多用しなくても十分固まるという。
あと「NCO」ならではの黒糖の色が出る。「この緑がかった黒がいいでしょ、この色が出る黒糖が好きなんです」と言われる。
こうした一つ一つのこだわりによって、さとうきびの甘みとミネラルを残しつつ、えぐみの少ないホロリとした独特の濃緑色の黒糖ができあがる。
(砕いたものより、一枚板になっていると緑っぽく見えます。)
さとうきびの収穫時期は12月~4月。この時期に作った黒糖にのみ「新糖」というシールを貼っている。この「新糖」ものは少々水分が多く、香りと黒糖の風味が強い。どうぞ、この時期だけの新糖の味わいをお楽しみください。
料理にお菓子に使いやすい「粉黒糖」は黒糖を使いやすいパウダー状に加工したもの。黒糖は美味しいけど、料理や菓子作りに使いにくい、という声を反映したもの。こちらは水分を飛ばして粉にしやすい粉黒糖用の黒糖にしてからパウダー加工した製品。
これでシフォンケーキ作ると最高! 生姜漬けや柑橘の皮を漬けるのに使っても美味しい!とのことです(お客様の声)。紅茶や、コーヒー、牛乳にもいいですよ。きな粉や胡麻とも相性が良く、ぼたもち、揚げパンに使っても美味しいでしょう。
こくとうまめ
豪州産の落花生に黒糖をからめたミネラル豊富なおやつ
黒糖芋かりんとう
鹿児島産黄金千貫さつま芋の芋けんぴに黒糖をたっぷりからめたお菓子。(危険)
(3月13日からの日本橋三越の「鹿児島展」にも出店されるようなので、興味がある方はのぞいてみては。当店では扱っていない、色々な種類の黒糖がありますよ。)
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